picture by. abundant shine

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遥かに遠く離れてしまった、結局シャドウ一人で残った時代。

孤独が怖いとかではなかった。人は一人で生まれ、一人で死ぬものだと−自分が死ねるとかは考えたこともないけど−思っているから。

ただ、それだけだった。たまに寂しいこと。昔には忙しいし、うるさくて時々嫌い方に近いな考えを持っていたけれどそれのせいか今はそんなに好きだった静かさが堪らなかった。

世界ではまたソラリスの計画が始まっていて、その計画についてシャドウの力を借ろうとするのをシャドウは確実に知っていた。

だけど、だけどそれは彼とは関係ないことだった。結局はそうだった。どうでもいいこと。シャドウはそう思っていた。

未来を知っているというのはつまらなく住んでいると同じこと。

いつの間にかどんなことにも興味を持ってなくなってしまったシャドウは決して溶けない氷と雪がが積もっている山で住んでいた。

永遠に、と言ってもいつかは消えていく運命たどシャドウは知っている。だが、そのときはそのとき。意味があることは何もなかった。

誰もいないからこその静かさ。まるで厚い氷のように、壊れない堅固さをもって。

その中で、シャドウがするたった二つのことは白い吐息を吐きながら雪と氷の間を歩くこと、また夢を見ることだった。

こんな息苦しい寂寞ではない、いやなほどうるさかった昔のことを。

特には、だから、いつも笑って彼を見ていた青い彼を。

一緒にいるときには知らなかった。離れてしまったときに気になっていたことを気付いたときにはもう遅かった。

出来ることだとしても、ただ目を閉じて、その笑顔がどんな形をしていたか、その顔をしてなんと言っていたかを思い出すだけ。

いつも思い出の中をみて、夢の中を歩いている間に、世界がどうなっていくのかは気になることはなかった。

・・・守るべきものはもうないだから。

彼の心ほど冷たく凍りついた氷の中で、シャドウはどうでもいいと言うように横になって眠りを誘った。

それはもう何ヵ年も繰り返している奇行だった。もちろん彼がそんなことくらいで死ぬこともないし、風邪さえ掛けてはしなかったが大変なことに違いはなかった。

だけどシャドウ自身は全然気にしないようだった。寧ろ長く寝てしまって、永遠に目を覚めることがないように、考えていた。

孤独が怖いとかではなかった。人は一人で生まれ、一人で死ぬものだと思っているから。

ただ、それだけだった。たまに寂しいこと。昔には忙しいし、うるさくて時々嫌い方に近いな考えを持っていたけれどそれのせいか今はそんなに好きだった静かさが堪らなかった。

『ならば変えてみるのはどうだい?』

「?!」

一瞬、そんな言葉がシャドウに聞こえた。シャドウはその声の人を見つかってみようとしたが目覚めることさえ出来なかった。

「貴様!誰だ!!」

『それは知る必要ないなー。だけど、どうだ?オレが先言ったの』

「変えてみると言っても一体何を・・・」

『例えば、そうだな。お前の周りとかはどう?真っ白だけじゃつまらないからな』

その話が終わってすぐシャドウはやっと目を覚めるようになった。だけど彼が今起こって立っているところは厳しい寒さだけがある雪山ではなかった。

その風景は、そう。

『お前が毎日思い出すここ、たどか?』

昔には何でもないと思っていた光景。だけど今になっては何より重要になった場所。もう戻れないと思った昔の思い出。

『お前が願ったらいつまでもここで住むことができる』

明るいといっても何故かいま話す人−いや人かどうかも知れないが−の姿は影もシャドウには見えなかった。

それでも声はずっと続いてシャドウの耳に届いた。

長く、とでも言えない短い間に、シャドウはその声をどこかで聞いたことがあると思った。

だけどその声はシャドウが言える一瞬の時間もくれなかった。ただ、自分が言いたいことだけを言っているようだった。

『願う限りお前はここで生きていられる。だけどそんなに長かったら・・・いくらお前でも危ないかもな・・・』

「何を言っている?」

シャドウはそう言ったとき、その声はもう聞こえなくなった。姿が見えなかったから、シャドウはもう消え去ったのかと思うだけだった。

その瞬間。

「うわっ?!」

「くっ・・・!」

誰かが速いスピードで思いっきりシャドウに駆けてきてたと思ったら、ぶつかってしまうのではないか。

何とかしてシャドウはふらつくほどだったけどぶつかった方はその速さのせいで転んで倒れてしまった。

ふらふらする頭を何とか落ち着けて前を見れば、そこにはよく知っている青い針鼠が・・・。

いや、知っている?誰が、誰を・・・?

シャドウはなんだか浮かべようで、そうではない“何か”を思い出せようとしたが、うまくならなかった。

そうして、段々思い出せることは自分はシャドウ・ザ・ヘッジホッグで、自分がどう生まれ、どんなことをしてきたかとかの、ほんの僅かな記憶だけ。

何故ここに来ているのか、どうしてここにいるのかもさっぱりで混乱しているシャドウに、あの“青い針鼠”が声を掛けてきた。

「Are you OK? Sorryー」

「あ、ああ・・・気にするな」

「そう、じゃなー!」

そう言って、彼は先と同じように速いスピードでシャドウから去っていった。

そうしてまたぶつかってしまったらどうするつもりだ、と思って、少し驚いた。他人を心配するなんて、らしくもないことだど思うからだ。

「どうでもいい、か」

そう言いながらシャドウは立っている道を歩いた。口にする必要もないことをわざわざ言った理由は何故か少しずつ思い出せて気になってしまう先の彼のことを頭の中で消すため。

どこか見慣れたところ。だけどシャドウはどこに行けばいいかと簡単に決められなかった。

その姿を、遠くで眺めている影が一つ。

「そう。お前は何も思い出せないぜ。ここにいる限り、何もな」

涼しい、夏の暑さを下げてくれる風が吹いてきた。だけど彼のトゲを揺らすことも出来ずにただ通ぎて行って去った。

彼は、それに気もしないと言うようにシャドウから目を離さなかった。

「思い出せるけれどそこには何もない空虚の世界。思い出せないけれどそこにはみんながいる純粋の世界。お前はどっちが幸せ?」

質問は掛ける相手なく消えていく。もちろんそれにあたる返事もなし。だけどそれでいいと思うのか、彼の表情は笑っていた。

そのとき、彼の視線がどこかに向いた。そこは綺麗な空で、都合よく雲も流れていくところ。

それにそこにはとても合わない真っ黒な欠片が。

いや、欠片ではなかった。言わばガラスが壊れたように開いている穴だった。

「暮れることもないこの世界なのに。やっぱり、長くは出来ねえと言うのかな」

ちぇっと舌を打ちながらも、彼の笑みは自身が満々であった。そして立っていた高い木から落ちていく。そしてその周りと同化して消え去った。

その姿が完全に消えるときまで、その視線はずっと迷っているシャドウに向いていた。

「どうか、こんなくだらない世界でも、お前が・・・」

結局は何も変わらないことだとしても、しない方がもっとよかった無駄なことだったとしても。

放っておくことは出来ないから。これしか出来なかったから。

「実は・・・もっと楽しくしてほしくて、記憶は全部消えるつもりだったぜ?」

だけど思い出せない辛さをもうあげることは出来ないから。必要はことだけをしていた。残ることは、また生きられる力を与えるだけ。

「・・・シャドウ」

―――まだ、適当な時間ではなかった。

 

 

 

 

「あれ?ここで何しているんだ?」

丁度シャドウが曲がり角を過ぎるその刹那に見慣れた声が聞こえた。そっちを向けば先ぶつかった青い針鼠がいた。

「君には関係ないだろう」

「冷たいなあ!俺たちが―」

「先ぶつかってしまった哀れな同士だろう」

シャドウは長く続けるような彼の言葉を言い切った。

彼はすぐ気に入らないとするようにむっとする表情を浮かべたがシャドウは簡単に無視した。

それに全く構わない様子で彼はべらべら言い出した。

「なあなあ、考えてみたけれど、お前ここでは住まないだろ?な?」

「・・・それを知ってどうする」

「まあ、どうする思いはないけど。気になるから」

「・・・、住まない。それでいいか?」

「Oh, It is true? もしかしてお前も旅行するの好きか?」

段々シャドウはその話に意味を感じなかった。そろそろ返してもらおうかと思えばそんな言葉が飛んできた。

いったん聞いたことだ。シャドウはとにかく返事をしようと口を開いた。だけど先から思い出さなかったことが突然覚えられることはない。

何とかしようどして止めた。時間は進む。歩く道を青い針鼠ははずっと付いてくる。どうしようもない。

結局は。

「・・・覚えていない」

「いない?」

「そう」

別に出来る言葉もない。覚えてないことは覚えてない。彼はそうか、と何とか自分で納得したように言って、またシャドウに聞いてきた。

「ならば、名前は覚えているか?」

それなら簡単なことだ。シャドウはたいしたものではないというように自分の名前を口にした。

考えれば教えなくてもいいことだった。だけど、その雰囲気に飲まれてしまった。

その針鼠は、いい名前だな!とか言って、オレはソニックだぜ?よろしくな、と言っていた。

シャドウはただそうか、と言って、あくまで興味ないという態度で歩き続けた。それでも負けずに、青い針鼠、いやソニックは続いてシャドウに話しかけた。

「ならば、どうしてここにいる?」

それはシャドウも誰かに聞いてみたいことだった。どうしてここにいるのか?見慣れはしていたが元にいった世界はここではない気がしていた。

何かおかしい、だけどおかしいところが見つかれない。ただ、ここにいるだけだ。

何も言わないシャドウに、ソニックは自信満々な声でこう言った。

「It's alright! オレが側にいるから、大丈夫だせ?」

「は?何を言っている。僕たちは今知ったばかりではないか」

「そう?オレは、どこかで見たような気がするだけど?」

ソニックがニヤニヤ笑う。その声とその笑みにシャドウもデジャビュと言うものを感じた。だけどそれは彼がそういったせいだ、と一蹴した。

しゃどうがそう考えるかこう考えるかは構いなしで、ソニックは手を差し出した。

「実は、先離れた後気になって探してまたのさ。オレ足あ自慢だしね。」

これはよろしく頼む、っていう意味で。と言いながら手を振ってみせる。シャドウは呆れたようにみたけれど、その手を拒絶ことはなかった。

「助けになれるかはしらないけどな」

「それ失礼じゃないか?!」

「知るか」

少しうるさいやつ。だけど悪くはない。それはシャドウの基準では褒めることにぞくすること。